2016年11月10日木曜日

超☆能力があれば相手の心が読める NLPのキャリブレーションは誤訳?

心理状態の変化と訳したのは拡大解釈?誤訳?であり、正しくは「あなたの非常に鋭い感覚を使用して、他の人に発生する瞬間の変化に気付く能力」≒観察力である。

ある講師にとある部分を突っ込んだところ、「あ~、NLPを最初に訳した人達は、NLPのことをよく分かっていなかったみたいよ~」とのこと。

また、NLPのラポールの意味 相手を真似ている状態≒共感≒調和した関係 で書いたように、英語もよく分かっていなかったようだ。
だったら、修正すればいいのに!と思うが、何か問題があるのだろう。

NLPのトレーニング中で、私はキャリブレーションについて調べることになった。
ネットの内容はだめだけど、本の内容は参考にしていいとのことだったので、ABNLPのタッド・ジェームス氏のタイムラインセラピーの翻訳書を手に取る。
キャリブレーションについて触れている本はあまりなかったが、この本には用語集があった。
アマゾンの評価で訳が全然違うと書かれていたのが心配で、原著をお持ちの方に確認してみた。

結果、訳は拡大解釈であった。

心理学,NLP原著の用語集

Calibrate:The ability to notice changes, which occur from moment to moment in another person, using your sensory acuity.

意訳すると、「あなたの感覚の鋭敏さを使用して、他の人に発生する瞬間の変化に気付く能力」である。

また、sensory acuityも実はNLP用語であり、直訳すると「感覚視力」だった。
Sensory acuity:Having very acute levels of sensory perception.
意訳すると、「非常に鋭い感覚知覚を持っている」ということだ。



日本語訳
キャリブレーション:自らの感覚的鋭敏さを活用し刻一刻と変化する相手の心理状態を正確に見極める能力

ここで分かることは、日本語訳ではなぜか心理状態と断言してしまっていることである。
この翻訳書の出版日は私にとって考え深いものであり、メッセージ性を感じる。
何かの声や数字は、何かを暗に伝えるメッセージだったのかもしれない。


しかし当然ながら、原著や著者によると、心理状態は推測でしかなくキャリブレーションとは違う と考え教えている。
読心術って、☆超☆能力とかっていう最先端科学技術がないと無理。
ほとんどは、これまでの培った自分の経験からくる気づかいや勘違いを含めた推察力だろう。
NLPのキャリブレーションは、前後の違いを他人が比べられる、心理状態以外の知覚可能な変化に気づく力のことである。

英語から考えて、どんどん変わってしまう視覚化可能な身体的変化と言った方があっている可能性は高い。
物事の状態や変化を客観的に注意深く見ること。=観察 であるので、やはり観察力というのが日本語としては相応しいと思われるが、実際に聴覚的なものも前後の変化に気づくことが推測ではなくできるので、心理状態を省いて伝えるのであればセーフであろう。

一言でいうならここでいうNLPのキャリブレーション≒観察力であり推察力ではない。
「あっ、今眉毛が1ミリくらい上に動いた」みたいな。
観察眼と捉えた方がいいような気もするが、、、

鋭い観察力=keen powers of observation
であるので、ビジネスや日常でキャリブレーションを観察力と同義語だと思って話さないようにしたほうがよい。

射程距離を測定する、(銃の)口径を測定する、較正する=Calibrate
である。
原著ではCalibrateだが、日本語訳ではCalibrationになっている。
精密機器、銃とかの正確な測定に関する言葉かも?

おそらくこのNLP用語を最初に作成した人は、銃が好きな欧米人だったのだろう。
NLPを人に教えるところまで理解しようと部分的にスポットを当てて調べていくと、こういう気づきは多いのかもしれない。

また、NLPの団体によって教え方や定義は違い、教えやすいように作った用語、造語である以上、それが分かるNLP関係者の中でだけ使う言葉として捉えていきたいところだ。
NLPではなくビジネスコミュニケーションとして教えている団体もある。
ビジネス用語として会社で使っている上司がいたが、思わずつっこみたくなってしまった。
会社では、極力日本語を使おう!

NLPに限らず他国のものを日本語に訳したものには誤訳や拡大解釈がつきものであり、本に至ってはその翻訳家の腕にかかわらず、出版社とバックの思惑が重なって原著と全然違うことがある。

ある翻訳家によると、本が売れる為には!ということやその内容を売る為には!とかを考えて翻訳していると言っている。

決められたページ数の中に内容を押し込む為には、なんとかして纏めなければならない。
英語を日本語に訳すと日本語の方が文字量が多くなってしまう為、重要な部分の意味が変わってしまうような端折りをすることもあるようだ。

出来れば原著と翻訳書を比較して読むことをおすすめする。
英語が分からない場合、スキャン翻訳アプリを利用するのもよい。
出来なければ翻訳された外国の書物などは、原著との違いがあることを十分理解した上で読み進めていこう。